シン・春夏冬広場

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宇都宮駅にピアノが設置されていて生音楽のある暮らしは良いなと思った話

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何やら音楽が聞こえ、人だかりができていた。野次馬根性から近づいてみると、宇都宮の駅にグランドピアノが設置されていた。どうやら飛び入りで自由に演奏できるらしい。どこかの団体が設置したのかと思い、看板を眺めるとJR東日本とある。ずいぶん粋なはからいだなと、感心した。

 

後から後から演奏者が並ぶ姿を見て、自分の演奏を誰かに聞いてほしい欲求というのはここまで多いものかと再び感心した。空港や大きな駅にはピアノが設置されていることがある。たいてい外国人がひょこひょこビール片手に歩いてきて、いきなり演奏が始まるというのが、僕にとってのスタンダードだったので、日本人にそういった誰かに評価されたいという欲求があることに感心したのだ。

 

この流れはYouTubeが流行っている影響が大きいと思う。ハラミちゃんなど、ピアノ演奏を好きなYouTuber は人気だ。皆演奏前に携帯を設置し、動画撮影を開始している。まさか自分の演奏を帰ってから眺めるわけではないだろう。皆の前で演奏するだけでは飽き足らず、世界へと発信することを目的にしているに違いなかった。ここまで前に出て評価されたいという承認欲求は僕にはないし、理解できないものであった。否定しているわけではなくて、そういう時代になっているのだなとしみじみ感じたのだ。何ものにかなりたいという人々があふれているのだろう。

 

演奏者がちょうど入れ替わったときに聴き始めた。坂本龍一 merry christmas mr.lawrenceを演奏しはじめた。曲は唐突に始まった。何かを示し合わせて始めるわけではなかった。この曲は戦場のクリスマスで登場した曲だ。繰り返しの中で粒だった音がじわりじわりと押し寄せながら音の世界へと誘われていく。どこかで聞いた曲だなと思い、坂本龍一だなと感じた。そのくらい印象的な入りだ。何より驚いたのは、ピアノの生音を久しぶりに聴いたのだが、ピアノってこんなにいい音なんだったろうかと感動した。YouTubeやCDなんかでピアノの音を聴くが、こんなに腹に響く音量で、音圧だったのかと感銘した。もともとデジタル音楽というのは高周波や低周波がカットされてしまう。また、音を連続の波として表現できない。量子化されてしまうためだ。そのため、音を大きくしたところでアナログを再現出来ない。デジタルとアナログには確固たる違いがあるのだが、ここまで違うものだっただろうかと感じたのだ。演奏者がうまいというのもあるのだろう。演奏者は全く存じ上げなかったが、非常にキレのある演奏だった。音楽ってやっぱりいいよね。それにやはり生音は違うなと感動しきりだった。音楽のある生活のなんと贅沢なことか。改めてJRの粋な計らいに感謝する。