シン・春夏冬広場

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【書評】人生の土台となる読書

 

 

本との出会いは難しい。特に自分の考えを根底から揺るがすような、衝撃的な本と出会うのは宝くじのようなものだ。多くの本は、問題の本質をタイトルにする。問題の所在である最も重要な言葉をタイトルにするのは当然だ。しかし、その言葉は問題全体を表す言葉なので、一見しただけでは内容が理解出来なかったりする。例えば夏目漱石の門がいい例だろう。このタイトルを見て、およそ夫婦の問題を取り上げたものだと気づく人はいない。それくらいタイトルから中身を連想することは困難を極める。

 

だからこそ、ブログの書評というのは非常に役に立つ。何より興味がでるような本があれば、探す手間をかけずに、出会いを得ることが出来る。中身の解説までおまけとしてついてくる。これほど、役に立つ情報はそうそうない。

 

人生の土台となる読書は、そんな書評をまとめた本である。著者であるpha氏は、ギークハウスという趣味趣向の合うクリエイターたちのシェアハウスの発起人である。最近でこそシェアハウスがもてはやされているが、2008年ごろからすでにそういったことを始めていた。個人的にはpha氏のビジネスホテルでの過ごし方には共感を持っていて、出張したときのくつろぎ方は、すっぽんぽんになりながらストロングゼロと弁当でいっぱいやるのが僕の通例である。

 

ギークハウスに関するリンク

ギークハウスプロジェクト

 

pha.hateblo.jp

 

本やブログの中で書評を行う本はいくつかあるけれども、これほど広い範囲を網羅している本も珍しかった。本の構成としては、pha氏が人生の中で感じ取ったものと本を対比し、本の内容を説明しながら本によってどのように自分が救われてきたのかを紹介している。特に「ゆっくり効く読書」になるものを紹介している。即効性のある本というのは流行り廃りがあり、ずっと読んでいても閉塞感が個人的にはあると感じている。しかしながら、「ゆっくり効く読書」というのはそれこそいつだって使えるものだと考えている。

 

人生の中で迷うことや、他の人と違うことは良くある。そんな時に道しるべとなるものは本だと思う。短い人生の中で、自分と違う人生を歩めることはない。しかし、本の中では追体験が可能なのである。

 

衝撃的だったのは、ダメ人間の王様に憧れてという本の紹介で、

要するにみんなラリってる。ラリってる中で一番たちが悪いのは思想と宗教にラリっている奴だろ

という中島らもの頭の中がカユいんだの部分だ。僕はこの一文を読んで、この本を読んでみたいと思った。

 

およそ会社と自宅を行き来するような平凡な人生を歩んでいる僕にとって、破戒的な生き方というのは憧れる。自分の中の平凡さ、平和さを得る代償として、自由を失っているからだろう。自分が選んだ人生と考えていた。しかしながら、実は親の期待や人生のハクに憧れただけだった。僕の人生は周りのバイアスによってもたらされただけで、自分で選択して来なかったのではないかと、感じることがある。破戒的な人生を選択することは可能だが、尻込みする。そんな壁を壊すきっかけを与えてくれるかもと期待してしまう。そしておよそ僕の知識の範囲では出会うことのなかった本だ。得した気分だ。

 

本の中で取り上げられているが、率直な言葉は強いけど難しいとある。これには同意で、素直に暴露したいことや、書きたいことは山のようにあるが、世の中からの評価、反応が気になり、表現をにごしたり、わかりにくくしてしまうことは良くある。ようするにびびっている訳だが、自分を守ろうとする防衛本能が僕をいつも邪魔してくる。コンプライアンスという見えない壁がある。僕など世の中からすれば取るに足らない雑魚だが、その雑魚をぼこぼこにしてくるのが世の中だ。どうしてもコンプラという言葉が頭を駆け巡り、筆を鈍くさせる。中島らもの本を読んで、勇気がもらえるんじゃないかと、期待している訳だ。

 

天才たちになれなかった敗者たちの話に、僕は心惹かれる。という部分がある。そういった本に並々ならぬ興味が僕にもあるが、探してみようと、切実な問題であると考えもしなかった。誰かがなみなみならぬ時間を注ぎ、その知識を探し求め、共有してもらえる。書評を読むというのはそういった良い部分があり、人生の土台となる読書ではまさに、様々な本が取り上げられているため、ぜひ手にとって読んでみて欲しい。

 

社会学文化人類学の本などはなかなか良い本を見つけるのは難しいが広く紹介されている。ぜひとも読みたい本だ。これは僕が社会心理学をかじった際に感じたことだが、社会心理学は多文化世界のホフステードが発見した社会、心理、数値という3つの要素をうまく組み合わせた学問だと考えている。まさに心を科学している学問だと思う。そのため大元である社会学文化人類学は新しい発見をもたらしてくれるだろうと期待している。

 

 

 

まった今度をおっ楽しみに~。ばぁい。