シン・春夏冬広場

楽しいことになんでもやっていこうっておもってますぜ。

6インチの世界

朝目が覚めて、僕は窓を開ける。窓の大きさは6インチ。その小さな窓は世界につながっている。薄暗い部屋の中で怪しいブルーライトを浴びる。

 


6インチの中には世界が詰まっている。今日の天気、ニュース、みんなの様子。外から子供たちや通行している車の音が聞こえ始める。朝日が差し込んでいる。僕の目は6インチの窓へと戻る。今日の天気は晴れか。6インチの世界で確認する。

 


朝食を食べながら話をする。6インチの窓から友人、知人へコンタクトを取る。僕は色んな人とつながっている。どこかで、誰かのささやく声。から返事をしながら、視線は6インチの世界へと注がれている。誰かが不倫をした話、誰かが活躍した話、誰かが死んでしまった話。誰かが亡くなるのは悲しい。その悲しさをみんなとシェアする。ぴえん。

 


朝いつもの巡回のルーチンをこなし、色んな人、世界中の人と僕は繋がりを持つ。僕は孤独じゃない。僕は6インチからみんなと繋がりを持ち、新しいフォロワーとコミュニケーションをとって充実した生活を送っている。

 


出かける時間になって身支度をし、外に出る。今日は日差しが強い。誰かが後ろから声をかける。その声に煩わしいような声をかけて、僕の視線は再び6インチへと向かう。狭い世界に目を向けたり、煩わしい人間関係などいらない。僕は6インチの窓から世界に発信しているんだから。

 


いつもの通勤路を歩き、駅のホームへと向かう。遠くで、電車が来るアナウンス。その後電車が到着する。人が降りてくるが、気にしない。誰かがぶつかって来て声をかけてくる。すみませんとつぶやく。女性だったか、男性だったか覚えていない。座席の空きを確認し、席に座り、再び6インチの世界を覗き込む。

 


遠くで叫び声。なんだと顔をあげて覗き込む。誰かが倒れたらしい。僕は6インチを通して再び彼らを覗き込む。カシャカシャ。写真を撮ってSNSに上げる。電車で重大事象発生!電車停止中!注意して下さい!!うむうむ。リツイートも、いいねもされてる。どうやら1番乗り。ありがとう!なんてコメントもらったよ。誰かに運ばれて外に連れ出される人々。また6インチの画面へと戻る。

 


あ!しまった!今日休みじゃん!そうだった。なんだ。誰かおしえてくれたら良かったのに。ぷりぷり。せっかく外に出たし、映えスポットでも巡るか!そういえば、インスタグラムに映えるお店が出てたな。次の駅だ。

 


突然の休みで、街を歩く。道に迷わないようにGoogleマップで、道案内を忘れない。画面を見ながら道を歩く。お店はここかぁ。カシャカシャ。突然の休みだから映えスポットなう。またまたリツイートやいいねがつく。羨ましいだって。映えメニューを頼んで、その間にツイートした反応を確認。上々ですな。メニューが運ばれてくる。フルーツたっぷり、生クリームたっぷりのパンケーキか。写真をカシャカシャ。横から上から斜めから。あとはボリューム感がわかる様に少し斜めが良さそうだな。いい感じ。少しカットして、断面図も撮ろう。断層写真も映えだよね。味は。うんうん美味しい。ただ量が多いから半分くらいでいいや。目的は達成したし、家に帰ろう。その前にインスタグラムとツイッターに投稿しよ!

 


玄関に着いてドアを開けて部屋に入る。充電、充電。はー楽しかった。今日は突然の休みだったけど、充実していたな。色んな出来事を世の中に拡散できた。あとでまたチェックしておこう。そうして寝るまで僕は6インチの窓から再び世界を覗き込む。遠くで誰かの声がするが、気にしない。僕は世界で活躍してるんだから、さまつな出来事にかまってるヒマはないのだ。

 

 

 

 

まった今度をおっ楽しみに~。ばぁい。